Always You

【2022/07/01改稿】

「Always You」作詞:トニー・アッシャー、作曲:ロジャー・ニコルス1968年の作品。ロジャーの作品の中でもかなり出来の良い作品で管理人も大好きな曲です。2007年4月の山下達郎サンデー・ソングブックでも2バージョンかかっていましたが、現在までにサンダウナーズ(The Sundowners)のアルバムバージョン及びシングルバージョン、アメリカン・ブリード(The American Breed)、リンダ・ボール(Linda Ball)、シンパティコ・ヴォイシス・アンド・ストリングス(The Simpatico Voices And Strings)、ハッピー・バルーン(The Happy Balloon)、ご本家ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの7バージョンを確認しています。

ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズが2007年、ハッピー・バルーンが2001年、シンパティコ・ヴォイシス・アンド・ストリングスが1971年、アメリカン・ブリードが1969年、サンダウナーズとリンダ・ボールは1968年で、どちらがオリジナルかは不明です。というか山下達郎氏曰く当時はいろんな人が同時期に同じ曲をとりあげているのでどれがオリジナルかカバーかを言及してもあまり意味はないみたいです。

この曲は1966年にロジャー・ニコルス・トリオがA&Mと契約する時点でのデモ音源4曲のうちの1曲が元になっているそうです。ここではUCLAのソングライティング・クラスの講師ハル・レヴィーによる仮詞がつけられていたとのこと。この音源は他に「I Can See Only You」、「Just Beyond Your Smile」、「Treasure Of San Miguel」の原曲が録音されているそうですが現在までに正規音源は出回っておらず私も聴いたことがありません。是非発掘してCD化してほしいものです。

(なんて言ってたら2007年12月、突如あの“ロジャニコ”が帰ってきました!!40年振りのスモール・サークル・オブ・フレンズの新譜にもなんとこの曲が入っています!!66年のデモに近いアレンジなのでしょうか。もう涙なくしては聴けません!!!(2007年12月追記分))

音源情報です。

・Roger Nichols & The Small Circle Of Friends 「Full Circle」

アルバムの9曲目に入っています。イントロのシンセが無ければ昔の録音と言われても気づかないかもしれません。イントロを除いてサンダウナーズのアレンジに近いですが間奏のホーンの部分にはコーラスをかぶせてませんね。でも全体的にやっぱり本家のコーラスは分厚くていい感じです。いくつかこのアルバムの試聴/ダウンロードできるサイトがあります。

・Sundowners 「Captain Nemo」 (Decca 75036)

アルバムの7曲目に入っています。イントロにストリングスが入っているところがシングルバージョンと異なるところです。このアルバムは最近CD化されています。

<Amazon.co.jpで確認、YouTubeで試聴

オリジナルアルバム以外にも下記のようないくつかのコンピレーションCDで聴くことができます。

参考サイト:写真左 参考サイト:写真中 参考サイト:写真右

・Sundowners 「Dear Undecided / Always You」 (Decca 32171)

シングルバージョンはアルバムバージョンとはアレンジが異なり、イントロのストリングスが無く、ベースのイントロから始まります。CD化音源としては正規盤では「Sunshine Days pop classics of ’60s volume 3」(写真下左側)というコンピレーションに収められています。(ヒロさんからのコメントで調査したところ収録時間が短いことが判明し、さっそく購入して確認ができました。情報ありがとうございました。Amazon.co.jpで確認する。)また、90年代に出回った「Roger Nichols Song Book」(写真下右)というアナログ起こし音源を集めたCDにも収録されていましたがアナログ盤起こし集ですのでノイズがとても気になります。ただ、なかなか聴けないようなレアなものも含んでいますのでマニアにはお勧めかもしれません。

参考までに「Roger Nichols Song Book」の曲目を記載しておきます。

  01. We’ve Only Just Begun / Mark Lindsay
  02. I Wish I Knew / Judith Durham
  03. Twenty Miles From Home / Engelbert Humperdinck
  04. I’m Coming To The Best Part Of My Life / Cass Eliot
  
05. Always You / Sundowners(single version)
  06. Times Of Your Life / Paul Anka
  07. It’s Hard To Say Goodbye / Claudine Longet
  08. Talk It Over In The Morning / Shiloh Morning
  09. Bitter Honey / Holy Mackrel
  10. Poto Flavas / John Andrews Tartaglia
  11. Treasure Of San Miguel / Harp Alpert & Tijuana Brass
  12. The Time Has Come / Schott
  13. Only Me / First Edition
  14. Just What I’ve Looking For / Vogues
  15. Out In The Country / Three Dog Night
  16. To Put Up With You / Paul Williams(single version)
  17. The Drifter / Steve Laurence
  18. To Put Up With You / Holy Mackrel
  19. Somebody Waiting / Eydie Gorme
  20. Rainy Days & Mondays / Intruders
  21. Nichols Medley / Johnny Mathis

・The American Breed 「Lonely Side Of The City」 (Acta 38008)

アルバムの1曲目に入っています。サンダウナーズのシングルバージョンと同様でベースのイントロから始まりますが全体的にサンダウナーズに比べるとストリングスが無い分シンプルなバンドスタイルの演奏が楽しめます。このアルバムには他に「To Put Up With You」も入っているので要注意です。1993年にはドイツでCD box 「The Uttermost Incredible Complete Recordings」内で、2013年には韓国のBig Pinkからアルバム単独では初のCD化がされています。

その他のCD音源としては下記の「Bend Me, Shape Me: Best of the American Breed」(写真下左)で「To Put Up With You」も含め聴くことが可能です。「The Melody Goes On # Soft Rock Volume 2」(写真下右)では「Always You」のみ聴くことができます。    

<The American Breed に関するwikipedia

・Linda Ball 「Always You / The End」 (Jerden JD-816)

シングル盤のみで未CD化の音源です。アナログ起こしのLostjuke Box ( Vol. 24)以外、現在どのコンピレーションCDでも聴くことができません。ネット検索ではA面が「Always You」のように出てきましたが盤には下記のように記載されておりどちらがA面なのか判断できません。

  • JD-816 AMP 45-260 THE END (Ian Whitcomb),
    Arranged by:Roger Nichols, Produced by:Asher-Nichols-Kaye
  • JD-816 AMP 45-261 ALWAYS YOU (Tony Asher, Roger Nichols),
    Arranged by:Roger Nichols, Produced by: Asher-Nichols-Kaye

「The End」は現在アメリカン・グッド・タイム・ミュージックの再現で人気のあるイアン・ウィットコムの曲ですがA/B面共にロジャーがアレンジとプロデュースに絡んでいるので見逃せないところです。また「The End」は作者本人のバージョンの他にシエスタ・レーベルのリタ・カリプソにより2001年にカバーされています。

Linda Ball本人の経歴等はよく判っていません。discogsにはシングル2枚以外にアルバムが2枚掲載されていますがこのかたはコロラドの教会に関係するシンガーのようです。YouTubeにもupされていますが私には同じ声ではないように思えます。

・The Simpatico Voices And Strings 「Masquerade」(A&M AMLB 1023)

この音源も未CD化のようです。ネット検索でも殆ど情報が無く、管理人もジャケットに書かれていることぐらいしか判りません。まずジャケットには「Masquerade featuring The Simpatico Voices And Strings」と「SIMPATICO Arranged and Produced by Chuck Anderson, Conducted by Johnny Pearson」が記載されています。盤には1971の表記があるので1971年作品のようです。

調べてみるとチャック・アンダーソンは1950年代後半トロンボーン奏者としてメキシコのLuis Arcaraz Orchestraで演奏、後年自身のオーケストラも結成しており、メキシコCBSのA&Rのヘッドを努めたり、アレンジャー、プロデューサーとしてはヴィッキー・カーの「Recuerdo a Javier Solis」でグラミー賞を受賞しています。

ジョニー・ピアソンは自らオーケストラを率いたイージー・リスニングアルバムを複数枚出しているポピュラー・ピアニスト兼作編曲家です。

以上の製作者の略歴からだいたい想像される通り本アルバムは当時のヒット曲等を全曲スペイン語のラテンアレンジにしたイージー・リスニング となっています。元々A&Mレーベル自体ティファナ・ブラスやバハ・マリンバ・バンド等マリアッチ・サウンドには力を入れていたのでメキシコ・マーケット向けと思われるこの手のアルバムを出してもおかしくはありません。サンド・パイパーズなんかも沢山のスパニッシュ曲がありますし。ただこのアルバムはUKのA&Mが制作したのかUS盤が無くAustralia、Italyの盤が確認されています。

なお、このアルバムにはロジャーの作品「Always You」と「I Can See Only You」の2曲が選ばれていますがスペイン語の歌詞はチャック自身が作詞しています。

参考のために曲目を記載しておきます。A面6曲、B面5曲の合計11曲です。

  1. Raindrops Keep Fallin’ On My Head
     (Gotas De Lluvia Sobre Mi Cabeza)
  2. En Aranjuez Con Tu Amor
     (Based on a theme from “Concierto De Aranjuez”)
  3. Negra Paloma
  
4. I Can See Only You (Solo A Ti Pude Ver)
  5. Masquerade (Sulema, La De Tonala)
  6. Something (Algo)
  7. Holly Holy (Aleluya)
  8. El Condor Pasa
  
9. Always You (Gracias Por Ti)
  10. Everybody’s Talkin’ (Voces En Viento)
  11. Song Of Joy (Himno A La Alegria)

・The Happy Balloon 「The Fine Art Of Ballooning」 (Siesta 126)

近年ではスペインのシエスタ・レーベルからハッピー・バルーンによりカバーされています。ハッピー・バルーンはギリシャ出身の男女ポップ・ディオのようなのですが名前もイニシャルでZとかNとかしか書かれていないので詳細不明のグループです。メイン・ボーカルは男性の場合と女性の場合があるのですが、女性のほうはフワフワのウィスパリング・ボイス、男性のほうも柔らかい声でつぶやくような歌い方です。サウンドはネオ・アコですかね。オリジナルのコーラスパートが主旋律になっていたりしてちょっと妙なアレンジになっています。



Always Youへの3件のコメント

  1. アバター ヒロ
    ヒロ コメント投稿者

    こんにちは。はじめまして。
    ヒロと申します。
    Always You / Sundowners(single version) は
    「Sunshine Days, Vol. 3」というコンピレーションにも収録されてます。イントロがベース音からなのでシングルバージョンだと思います。違ってたらごめんなさい。
    参考: http://www.amazon.co.jp/Sunshine-Days-Vol-60s-Classics/dp/B000001510

  2. アバター マルコーニ(烏天狗)
    マルコーニ(烏天狗) コメント投稿者

    ヒロさん、はじめまして。

    このコンピは存在は知っていたのですがシングルバージョンでしたかぁ。ネット検索したら2:19になっていたのできっと当たりだと思います。
    貴重な情報どうもありがとうございました。[E:scissors]

  3. アバター マルコーニ(烏天狗)
    マルコーニ(烏天狗) コメント投稿者

    「Sunshine Days pop classics of ’60s volume 3」に収められているSundownersのSingle Versionについて本文に追記しました。ヒロさん感謝!