Can I Go

ロジャー・ニコルスとトニー・アッシャーによる1967年の作品で、ロジャニコ本人のバージョンの他には唯一1968年のThe Collage:コラージュ(写真右)のバージョンが知られています。彼らについての情報ですがソフト・ロック紹介本でも殆ど触れられておらず、全く別のCollageというグループばかり注目されている状況です。

しかもCollageという同名のバンドは多数存在し、ソフト・ロック・ファンが聴いてもおかしくないバンドでも3つもあるため、ネット検索もままなりません。ジャケットにもメンバーはファースト・ネームのみ(DONNNA、JODIE、JERRY、RON)の記載で女性2名、男性2名のグループ、プロデュースはスティーブ・ダグラス(Steve Douglas)、アレンジと指揮が巨匠ペリー・ボトキンJr(Perry Botkin Jr.)であることが判る程度でした。今回LP内で4曲を提供しているネーミング(joelson – careaga)の版権がCollage Music(BMI)となっているのに着目し、メンバーのファースト・ネームとの組み合わせで検索してみたところ、Jerry CareagaとRon Joelsonなる人物がヒットしてきました。Jerry Careagaはmyspaceにもsongwriterとして自身の曲を紹介しているミュージシャンで写真もジャケットの下側の髭の男性に面影が酷似していましたのでたぶん本人ではないかと想像しています。 Ron Joelsonのほうは、かつてヴァン・モリソンやジミー・ペイジが在籍したバンド「Them」がUSのみで発売した1970年の通産5枚目のアルバム「Them」で「Take A Little Time」という曲のWriterとしてクレジットがあるのを発見しましたが、このCollageの在籍者かどうかの確認はできませんでした。

(2022/06/20追記:2011年にCD復刻されました。Jerry Careagaの手記がライナーとして入っており、メンバーの名前やグループの結成から解散までの歴史が記されていますので一読することをお勧めします。ロジャニコ曲”Someday Man”はモンキーズよりも先に録音されたのですが発売できなかった経緯も面白かったです。CDにはボーカル抜きのものがボーナスとして入っています。)

音源情報です。

・Roger Nichols & The Small Circle Of Friends 「same」
 (A&M LP139/SP4319)

当時のLPのB面の最後の曲。サイモン&ガーファンクルの『ミセス・ロビンソン』を思わせるアレンジですが発表はこちらの方が先のようです。なお、CDを購入するのであればRevoraから2005年に出たボーナス曲入りCDが”St. Bernie the Sno-Dog”が入っていますし、2012年のステレオ・モノ2枚組はモノラル・シングル”Snow Queen”の音が唯一聴けるのでお勧めです。


<Amazonで確認1確認2、過去の日記>

Can I Go

・The Collage 「same」(Smash SRS-67101)

  Side-A
   1 Lookin’ At A Baby
   2 Driftin’
   3 Rainy Blue Memory Day
   4 Any Day’s A Sunday Afternoon
   5 My Mind’s At Ease
  Side-B
   1 Virginia Day’s Ragtime Memories
   2 Can I Go
   3 She’s Just Laughin’ At Me
   4 Ragged Clown
   5 Would You Like To Go

残念ながら上の写真のアルバム「The Collage」は2008年3月時点ではCD化されていません。「Soft Rock Ultimate」等のソフトロック紹介本でも取り上げてもらえないアルバムではありますが、このロジャニコ作品のカバー、カート・ベッチャー作の「Wold You Like To Go」、コンピレーション「The Get Easy! Sunshine Pop Collection」でも紹介されている「Rainy Blue Memory Day」、「Soft Sounds for Gentle People Vol. 2」で紹介されている「My Mind’s At Ease」も入っていますので、サイケ/ソフト・ロック好きのかたは一度聴いてみても良いかもしれません。海外の中古盤サイトで割と簡単に見つけることが可能です。

The Collageの「Can I Go」は左の写真のコンピレーションCD「The Melody Goes On # Soft Rock Volume 2」でも聴くことが可能です。ロジャニコ・バージョンよりもテンポが遅く、イントロもピアノなのでずいぶんと印象は異なりますがこちらもコーラスハーモニーがなかなか良いですね。


Can I Go


Album Play List

おまけ:他のCollageについて

本文冒頭に記載したソフト・ロック・ファンが聴いてもおかしくない3つのバンドの残り2つですが、3バンド共に「Collage」というアルバム1枚のみを残しているので紛らわしくてかないません。ということで弱冠記載しておくことにします。まずは写真左のアルバム(Cream CR-9006)のcollage。こちらはソフトロック本にも載っていて通称CreamレーベルのCollageと呼ばれており(注:ロジャニコ曲が入っているのはSmashレーベルのCollage)絶賛されているのですが、かなりレアな1967年のアルバムでなかなか見つかりません。先日Yahooのオークションでは開始価格で3万5千円がついていてしばらく買い手がつきませんでしたが現在は売れてしまっています(ちなみに私も高いのであきらめました...)。このバンドも詳細が不明ですが、サジタリアスの「ホテル・インディスクリート」の作者であるマイケル・ゴードンが手掛けたスタジオ・グループだとのこと。(2022/06/20追記:こちらも2011年に再発されました。ネブラスカ州オマハのローカルバンド chevrons との関係等判ってきたこともいろいろあるのですがそれは別の機会にでも。)

Full Album

そして写真右のアルバム(Golden Crest CRS 31023)は、テキサスの大学で音楽の助教授をしていたDarrell Halt(Piano)がリーダーで、教え子のLiz BrandeskyとChris Brandeskyの双子姉妹(Vocals)、Phil Walker(Bass)、Dan Prado(Drums)と結成したCollage。1971年に残したこのアルバムは近年GEAR HUB RECORDSからCD(RGF-005)とLP(RGF-005A)で再発されています。ジャズ・トリオをバックにしたコーラス・グループでセルジオ・メンデスとブラジル66の様な音でボサノバ等の曲を演奏しています。


Album Play List



Can I Goへの4件のコメント

  1. こんばんは。
    ロジャニコとは直接関係ないのですが、COLLAGEはかなり気になるグループです。上記のCOLLAGEとは恐らく別で、もうひとつ。雑誌RELAX誌に載っていたFREE SOUL 2001と云う特集で紹介のCOLLAGEを血眼で捜しています。なんとあのエディドレノンの”Let’s Do The Latin Hustle”を演ってるらしいのですが・・・。ソフロなのか、ダンクラなのか、それすらナゾです。

  2. アバター マルコーニ(烏天狗)
    マルコーニ(烏天狗) コメント投稿者

    シュールゲイザーさん、こんばんわ。[E:cat]
    そのCollageって僕は良く知らないのですが、軽く検索してみましたよ。
    EDDIE DRENNON & B.B.S.UNLIMITEDの1975年の「Collage」(FRIENDS&CO FS-108)というアルバムのことではないですか?
    試聴もできるようですね。
    ・http://seconds-sapporo.com/?pid=5499577
    ・http://www.ticro.com/search/E10001173/no_sub/detail/
    ・http://www.hmv.co.jp/product/detail/1838860
    ・http://www.amazon.co.jp/Collage-Eddie-Drennon/dp/B0002N6H3Y/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1205678968&sr=8-1
    でもきっとこれらは定番みたいなのでアルバム名と同じ紛らわしいバンドが居るんでようかね?
    ・http://blog.goo.ne.jp/ndd_review/e/88c3048a79d6e17ba985b4aaddb0225e
    これはcollage/sameになってるけどジャケ写同じだし...

  3. アバター surregather
    surregather コメント投稿者

    教えてくれて有難う御座います!積年の疑問が解けました。(というか僕の調べ不足でしたネ。)冊子の掲載事項が恐らく誤植で、エディードレノンのアルバム「COLLAGE」ですね。多分collage/sameとなっているのはその本鵜呑みにしたんでしょう・・。大変失礼いたしました。