鈴木梨央、吉田羊のポカリスエットCMバージョン(2022)
鈴木梨央と吉田羊が荒井由実の「瞳を閉じて」をカヴァーしたポカリスエットのCMが6月4日より放送されている。ずいぶん懐かしい曲、松任谷由美が結婚する前の曲で二人とも生まれてないんじゃないだろうか?他のカヴァーも気になったので善村ゆう子バージョンとかも調べて自分のメモ代わりにまとめておこう。
荒井由実のオリジナルバージョン(1974)
オリジナルは1974年10月5日に発売された荒井由実の2ndアルバム「MISSLIM」のA面2曲目、同日発売の4枚目のシングル「12月の雨」のB面に収録されている。2022年の時点で48年も前の曲である。自分は当時洋楽ポップス/ロックを主に聴いていたのだが、雑誌やラジオでニュー・ミュージックと呼ばれる新しいジャンルとして話題になっていたのでリアルタイムでアルバムを購入している。アルバムの全10曲は捨て曲がないぐらい気に入っていた。「瞳を閉じて」はその中では割とスローな曲で、何となく懐かしさを感じさせる素朴なメロディと歌詞の上手さで情景が浮かんでくる素敵な曲。鈴木茂のギターの音色、カッティング、山下達郎アレンジの優しい響きのバックコーラスも好きだな。曲が作られた経緯は当時から有名だったがそちらはウィキペディアに詳しく載っている。後にNHK「みんなのうた」で採り上げられたのも納得。
NHK「みんなのうた」の善村ゆう子バージョン(1976)
2年後1976年8月から9月にかけてNHK「みんなのうた」で放映された善村ゆう子の歌うバージョン。ただこの善村ゆう子という名前は知名度が無く、いわば幻のバージョンでレコードが出たという記録も無いのである。ネットで調べてはみたけど全く情報が出てこない謎の歌手………。それもそのはず、実は「みんなのうた」のディレクターの希望が「プロでない初々しい感じの人に歌わせたい」とのことで、ユーミンがスカウトしてきた横浜の普通の女子高生なのだ。女優吉永小百合の若いころに似た可愛らしい女の子らしい。たぶんプロには進まずネット検索で情報が出ないのだろう。ユーミンのラジオ番組にトークで登場した時の録音カセットが出てきたので興味があれば聴いてみてほしい。二人とも声が若くて可愛らしいですよ。
続けて他のバージョンはというと、上で紹介したウィキペディアに善村ゆう子以外に4つ記載があったのでそれらも含めて発表順に。
ポニー・テールのバージョン(1976)
2人組女性ボーカル「ポニー・テール」のバージョン、1976年7月29日発売の「二人は片想い」のB面(ちなみにA面もユーミンの曲)、同年10月20日発売のアルバム「グリーティング・カード」のB面最後の曲として収録されている。残念ながらYouTubeに音源が見つからないが、シンセサイザーの効果をうまく使って原曲と違ったテイストを作りだしている。バックが初期のムーンライダーズなのも興味深い。2008年の紙ジャケ復刻CDは廃盤で高額取引されているが、ちょうどタイミングよく今月再発されるのでポチっと予約してしまった。
倍賞千恵子のバージョン(1979)
名女優倍賞千恵子のバージョンは1979年発売の「歌とナレーションで綴る 倍賞千恵子 海の詩」というアルバムB面1曲目に収められている。曲間にナレーションが入る構成らしい。美しい歌声とフルートの入るアレンジやオーケストラのバックもなかなか良い感じ。
1970年代ではこのぐらいしか見つからなかった。ひょっとするとアイドル系の女性歌手のアルバムとかに含まれている可能性はあるが調べ切れていない。1980年代も見つけられなかった。1990年代は次の2件ぐらいだろうか。
ベベウ・ジルベルトのポルトガル語バージョン(1991)
ベベウ・ジルベルトはボサノヴァの創始者ジョアン・ジルベルトの娘さんで2000年に正式デビューするのだが、それよりも前の1991年に出た日本の企画盤「海を見ていた午後」に収録されている。当時はニュー・ミュージックのアーティストの曲を外国人に英語やフランス語で歌わせる企画盤が流行った時期で松任谷由実、山下達郎、小田和正、桑田佳祐とかいろいろ販売されていた。これもCD1枚まるまる松任谷由実のカヴァーがボサノヴァのアレンジで収録されている。なお、2002年には米国でも再発版が発売された。
竹内永和のクラッシック・ギター・バージョン(1995)
1995年の竹内永和(のりやす)「卒業写真 – 荒井由実・松任谷由実ギターベスト21」に収録されているインストゥルメンタルのギターバージョン。寝る前のBGMに心地良いかも。
ここからは2000年以降のもの。
ビューティフルハミングバードのバージョン(2008)
ビューティフルハミングバードの2008年11月5日発売のアルバム「HIBIKI」から。オリジナルよりゆったりしたテンポ、最小限のアコースティック楽器でじっくり聴かせるヒーリング・ミュージック/リラックス・ミュージックっぽいアレンジである。
yanokamiのバージョン(2011)
矢野顕子とレイ・ハラカミのコラボユニット yanokami の2011年のアルバム「遠くは近い」に収録されている。原曲にあまりとらわれないエレクトロニック・ポップでのアレンジは斬新な感じがする。矢野顕子の独特の歌い方と彼女らしさを感じさせる後半のピアノの音色が電子音と相まって夢幻の雰囲気を醸し出している。
その他
その他には2015年のオムニバスアルバム「PEACEFUL」に元ハッキング・キッチンのイシイモモコ、2022年3月のアルバム「暗夜灯」でBEBEのカヴァーが存在する。興味があれば下記リンクやYouTubeでいろいろ探すことができる。確認する場合の注意としては「瞳をとじて」(閉じてがひらがな)は平井堅の大ヒット曲なので多数のカヴァーがある。閉じて(漢字)のものに注目して探すこと。YouTubeで探す場合も同様だが、さらにアマチュアのかたのものも区別しないといけませんね。