父がブラジルで買ってきたレコード

写真のLPレコード、僕の父がブラジル出張に行ったときに持ち帰ったものだ。盤を見ると “ACABOU CHORARE” “OS NOVOS BAIANOS”  と書かれている。アルバム名とアーティスト名かな。レコード番号は “SSIG-6004” レーベルは “SOM LIVRE” 1972年のものらしい。たぶん出張もその年じゃなかったかと思う。当時はインターネットも無いしブラジルで売っているレコードの情報なんか皆無で全く謎のブツだった。

父が家でこれをよく聴いていたという記憶はなく、僕も中学生だった時に一度だけ聴いたことがあるけれど、その時はあまりピンとこなかった。父がよく聴いていて自分にもなじみがあったのは「オルフェの歌」「イパネマの娘」「ブラジル」、千趣会の世界音楽めぐりシリーズの中の1枚で日本語歌詞で歌われたものだ。それに比べるとポルトガル語だし現地の民族音楽的なものなのかなと思っていた。それ以降は棚に埋もれて忘れ去られていた。

先日ふとブラジル盤のレコードがどっかにあったはずと思い出し発掘したのだが、今ではインターネットに情報がたくさんあるので検索してみると、その筋では名盤扱いされていてアナログは数回、CDでも1997年以降何度も再発されていた。日本でもCDは何度も再発してブレイクしてたみたい。これはそのブラジル本国オリジナル初盤LPというわけである。盤質が良ければかなり高額で万単位で取引されているらしい。

見開き中ジャケ (1)
見開き中ジャケ (2)
裏ジャケ

結局、サンバ、ボサノヴァ、バイーア地方のブラジル音楽とサイケデリック・ロックを融合した伝説的バンド、ノヴォス・バイアーノス(Os Novos Baianos)の2枚目のアルバム「アカボウ・ショラーレ (Acabou Chorare)」というのがこの謎のLPの正体だったわけだ。2007年にはローリング・ストーン・ブラジル誌によるブラジル史上の名盤ベスト100の1位になるほどの名作らしい。

実際聴いてみると中学生の頃とは違いかなりイイ感じに思えた。曲のタイプもバラエティにとんでいてなかなか楽しめる作品だ。

父がどんな経緯でこのアルバムを入手したのかは今となってはわからない。現地で誰かに勧められたとかレコード店でヒットしてたので買ってみたとかだろうか?僕と父の関係は昭和の怖い父と逆らえない子だったのが、思春期の反抗期以降ずっとそりが合わず表面上の父子になってたけど、何気に音楽では色んなジャンルが好きなのは父の影響を受けてるんだなと最近では感じている。

過去のブログでちょとだけ父の記載があるのは「チャイコフスキー「くるみ割り人形」」、「ブラジルという曲」の2件、これが3件目だ。そして今日は父の16回目の命日でもある。